地域と共に歩み、お年寄りが生きがいを持てる社会を目指して
社会福祉法人 長岡東山福祉会
昭和62年、新潟県長岡市に市内で3番目となる特別養護老人ホームかつぼ園が、長岡市主導の元で開設しました。当時の日本における福祉サービスは、行政による「措置制度」が主流とされていました。サービスを必要とする人々を行政が救済するという考え方だったのです。

かつぼ園が開設してから、今年で33年。その間に高齢者介護の在り方は、大きく変貌しました。現在は、ご利用者自身やそのご家族が自由に施設やサービスを選択できる時代。ただ施設を運営するのではなく、人々に必要とされ選ばれるサービスを提供していくことが求められています。

社会福祉法人長岡東山福祉会は、特別養護老人ホームかつぼ園に始まり、福祉センターふそき、ケアセンター花の里かつぼ、これら3つの施設を運営し、入所(居)系サービス、在宅サービス、相談サービス等の福祉事業を地域と共に行ってきました。地域の拠り所として、必要とされる場所であることを目指しています。

今回、長岡東山福祉会事務局長であり、かつぼ園園長を務める田中昭さんに開設当初のお話を聞くことが出来ました。
福祉未経験のメンバーが集められてスタートした「かつぼ園」
行政が主導となり開設した、特別養護老人ホームかつぼ園。当初の施設長、事務長は行政経験者が務め、働く職員は18歳から33歳まで未経験ばかりのメンバーが揃えられてスタートしたそうです。田中園長もメンバーの一人。福祉の仕事は全くの未経験でした。

「学校を卒業して、はじめは会社員になり営業の仕事をしていたんです。数字のノルマに追われて、人と会うことや話すことが嫌になってしまった時期もありました。その後は、モノづくりに携わったり、料理関係の仕事をしたり…いろんな経験をしましたね。30歳になってようやく辿り着いたのが、福祉の仕事だったんです」

当時は皆が手探りで仕事をしていたそうです。

「今のように教科書や指導書が揃っていなかったので、どのように介護をしたらよいか手探りの日々でした。その中で考えついたのは、相手の嫌がることはしないということ。
たとえば、認知症の方に苗字で〇〇さん、と呼び掛けても全く返事をしない。なら昔の愛称で呼んでみたらどうか、とか。接し方も掛ける言葉も、全て相手がどうしてほしいかを考えて行動しました」

年齢に関係なく、職員が皆で介護はどうあるべきかと考え行動する。やる気に満ちて温かい人たちが集う職場環境の中で、長岡東山福祉会の土台が築き上げられてきました。

その後、平成10年には高齢者センター、通所介護事業を担う「福祉センターふそき」、平成20年には小規模ユニット型の特別養護老人ホーム、少人数定員制のグループホームである「ケアセンター花の里かつぼ」が開設しました。また、施設運営のノウハウや職員の経験を活かし、介護者教室、介護予防指導、栄養指導などの講座も定期的に開催しています。長岡東山福祉会は、地域のお年寄りと人々にとってなくてはならない施設として、地域と共に歩みを続けています。
笑顔を育む地域活動で開放的な施設づくり
介護が必要な人をケアするだけではなく、元気に自立して生活できるお年寄りを増やしていくことも、重要な事業の一つです。長岡東山福祉会では、地域に根ざし共に歩んでいくために様々な地域貢献活動を行っています。

代表的な取り組みが、「レインボー健康体操」です。タオル一本と椅子があればどこでも気軽にでき、脳や筋肉を刺激して認知症予防、筋力アップに繋がる体操です。職員が指導資格を取得し、花の里かつぼや、高齢者センターふそきで毎週教室を開催しています。

また「花華クラブ」という地域活動にも取り組んでいます。花の里かつぼの園庭を中心に地域住民の方と一緒に四季折々の花を育てたり、花がら積みや除草作業を行います。色とりどりの花に囲まれて自然とお年寄りや職員に笑顔が生まれる活動です。

その他にも、子供達が施設に訪問したり、学生との交流活動を行うなど、ご利用者と地域住民との関わり・絆を大切にした取り組みを数多く行っています。

人と人との繋がりが希薄になってきている今、こうした取り組みは地域住民にとって活動のきっかけになり、地域にとっての「憩い」の場になっています。
介護の仕事は「お互いさま」。日々学び、日々成長していく仕事をしませんか
人は誰でも歳を重ね、いずれは自分たちの親も介護が必要になるかも知れません。そしてその先は自分自身も。そう考えると介護は決して他人事ではなく、「お互いさま」なのだと分かります。

長岡東山福祉会では、ワーク・ライフ・バランスを大切にし仕事と家庭生活が両立できるように職場環境を整えることで、ご利用者も働く職員も笑顔でいてほしいと考えています。
長年、現場で働く職員を見てきた田中園長は、こう話します。

「介護の仕事に就いて3年から5年ほど経つと、『別の仕事をしてみたい』とか『他のことにチャレンジしたい』と思う人も出てきます。そんな時、私たちは『いってらっしゃい』の言葉を添えて気持ちよく送り出しています。色んな経験・体験をして一回り大きくなって帰っておいで、と。そしてまた戻ってきてくれた時には『おかえりなさい』と温かく出迎えています。これまでも戻ってきてくれた職員がいますよ。一度介護の現場を離れても、出産や育児、介護をしながらでも、長く働ける職場をこれからも目指していきたいですね」
最後に、どんなタイプの方が介護の仕事に向いているのかをお聞きしました。

「真面目で根気強い方はもちろん向いていると思います。でもそれ以上に、仕事を自分なりに楽しめる人がいいですね。どんな仕事も様々なルールや決まりがあります。自分に与えられた仕事をしながらも、こうしたらどうだろう、もっと良い方法はないだろうか、と自分なりに考えて行動できるとよいと思います」

超高齢社会を迎えるようとしている今、お年寄りが生きがいを持ち、安心して楽しい毎日を過ごすことのできる社会の実現が求められています。
介護の仕事が未経験でも、知識がなくても大丈夫。お年寄りに寄り添いたい、その気持ちが大切です。地域と共に歩む長岡東山福祉会で、介護の仕事への第一歩を踏み出してみませんか?

2020/9/24 取材
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